足の小指が当たる主な原因5つと対処法
こんにちは!外反母趾などでお悩みの方の靴専門店、シューズ・ハチローの井口です(シューフィッター有資格者)。
靴を履くといつも小指があたって、タコができて痛いの。どんな靴を選んだら良いのかしら?
小指が当たる方はホント多いんです!革を伸ばしたり(広げたり)しても改善しない方も多いはずです。
原因は人それぞれなので、まずはご自身がどの原因に該当するのかを見極めることが重要です。
※足の小指のことは、正確には小趾(しょうし)と言います。
この記事では、小指が当たって痛い方に向けて、主な原因と対策を5つに絞って解説させて頂きます。 これを読んで頂ければ、小指が痛くなりにくい靴の選び方がわかります。
目次
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◆小指があたる原因は人それぞれ。複合している場合もあり
では、ここから小指があたる原因と対策について解説させて頂きます。
【原因1】大きめのサイズや幅広の靴を履いている
小指が痛くならないようにと、いつも大き目のサイズや幅の広い靴を選んでいるの。
そういう方って多いですよ。小指が当たる方は特に大きめのサイズや幅広の靴を選びがちです。
でも、逆効果になることがありますよ~。
大きめのサイズや幅広の靴だと、足を入れた瞬間は楽に感じるかもしれませんが、足がしっかりとホールドされていないので、足が靴内で動いてしまいます。
これによって、足が前方に押し込まれるので小指が圧迫されやすくなります。
確かに、下の写真の右のように足指と接する部分はゆとりがあったほうが良いのですが、全体的にゆるい靴ではなく、足をしっかりとホールドしてくれる靴を選ぶ必要があります。
また、開張足になっている方は、足幅が本来の幅よりも広くなっています。
開張足とは、足の横アーチが低下して、足幅が広がる状態です。
人間の足裏は、内側、外側、横の3か所がアーチ状になっているのが健康な状態です。
下の画像のように横アーチが低下した状態が開張足で、これが進行するとやがて外反母趾になる可能性があります。
開帳足で足幅が広くなっている場合であっても、必要以上に幅の広い靴を選ぶことはお勧めしません。対策は後述します。
【対策】足型計測で自分の足の正しいサイズと特徴を知る
多くの方は自分の足の本当のサイズを知りません。まずは専門家に足型計測をしてもらって、適切なサイズの靴を選びましょう。
計測は足の全長だけでなく、横幅、甲の高さ、甲の太さなどを、専用ツールを使って細かく測ってもらうと良いです。足の各ポイントの数値がわかるだけでも、自分の足に合った靴を見つけやすくなります。
但し、計測上の数値はあくまで目安にする程度なので、フィッティングも重要です。
【対策】開張足の場合はインソールでのアーチサポートが有効
開帳足の方は、アーチサポート付きのインソールを使うと良いです。インソールの上に足を乗せた状態は、低下した縦のアーチと横のアーチがアップしています。
低下した横アーチがインソールによって押し上げれると、靴内での足幅が多少狭くなるので、必要以上に幅の広い靴を履く必要がなくなります。
開張足については以下の記事もご参照下さい。
【原因2】靴をきちんと履いていない(ひも靴等の場合)
紐靴はどのように履いていますか?
紐はいつも結んだままにして脱ぎ履きしてるわよ。
それは問題ですねー。靴紐は飾りではありません。
面倒でも脱ぎ履きの都度結びましょう。正しい履き方は後述します。
えー、毎回そんなことするの面倒くさい。
そうですよね。よ~くわかります。
でも、サイズは合っていても靴紐をしっかりと締めていないことによって足指を痛めてしまいまうことがあります。
これは前述の大きめのサイズや幅広の靴の問題と同じ理屈です。
足がしっかりとホールドされないので、前方に押し込まれて小指が圧迫されてしまうのです。
【対策】紐靴やマジックテープの靴は正しく履く
紐靴は本来は下記のように履くものです。紐靴だけでなくてマジックベルトの靴も同様です。
まず、紐を十分に緩めて、必ず靴ベラを使い足を滑らせるように履きます。靴ベラを使わないと靴のカカト周りが型崩れします。
次にカカトを「トン」と床につけてつま先を持ち上げ、靴紐をつま先の方からしっかりと締めてゆきます。このようにカカトをピッタリと隙間なく合わせるのが重要です。カカトに隙間が空いていると、その分足が前方にズレているので、足指が靴とあたりやすくなります。
紐は緩めではなく、しっかりと結ぶことが重要です。
【原因3】足と靴のつま先型が合わない(特にスクエア型の足)
当たり前ですが、足と靴のつま先の形が合っていないと、小指や親指が圧迫されて痛くなりやすいです。
人の足は本来つま先が広くなっていて、三角形ではありませんよね。
でも、売られている靴は、つま先の形が足なりに広くなったものではなく、先細になっているものが多いです。特にファッション性の高い靴ほどです。
下の画像のように靴のフォルムがシャープになるほど足指への圧迫感が強くなります。逆に足の形に近いフォルムであれば、足指は圧迫されにくいです。
人のつま先の形は、下の画像のように3タイプに分類されます(これは大雑把な分類です)。
この中でも、一番右の足指が5本ともほぼ同じ長さの「スクエア型(正方形型)」と呼ばれるタイプは小指があたりやすいです。
スクエア型の足は下駄足とも呼ばれます。確かに下駄のような形ですね。
下の写真のようにエジプト型とスクエア型を比較すると、赤線のラインの傾斜角度がかなり違います。
スクエア型はその名の通り、四角い形に近い形状なので、こうやって比較して見ると、小指が当たりやすいことがお分かり頂けるのではないでしょうか。
【対策】自分のつま先型に近い靴を選ぶ
対策としては、自分のつま先の型と靴のつま先の型が近いものを選ぶことです。
スクエア型の足の方は、なぜかポインテッドトゥやラウンドトゥの靴を履きたがることが多いです。でも残念ながら、かなりミスマッチなので小指が痛くなりやすいです。
スクエア型の足は、スクエアトウやオブリークトゥと呼ばれるつま先型を選ぶことをお勧めします。
下の写真のように、靴をひっくり返して靴底の裏を見るとわかりやすいのですが、靴底の外側のカーブが緩やかで、四角い形に近いほど小指が圧迫されにくくなります。
【原因4】足が外側荷重になりやすい
内側縦アーチ(土踏まずのこと)が高い甲高の足(ハイアーチと言います)は、足が外側に傾きやすい(過回外と言います)ことがあり、この場合も小指が圧迫されやすいです。
【対策】インソール調整で外側への傾きを抑える
対策は、上の写真のようにインソールの外側を高くする調整を加えることによって過回外を抑制します。
【補足】靴のカカトの減り過ぎにも注意。こまめに修理しましょう
過回外の足に限らず、ほとんどの方はカカトの外側が減ります。
カカトが減り過ぎの靴を履くと、外側に傾斜した状態で歩くことになるので、修理に出して水平になるようにしましょう。
【原因5】つま先の向きが外側に強く流れやすい
内側縦アーチが低下している方は、足を後ろから見ると内側に倒れやすくなります(下画像)。前述のハイアーチの方と逆です。
これを過回内(またはオーバープロネーション)と言うのですが、過回内傾向の足だと、下の画像の様につま先が外側に流れやすくなるので、小指が靴に圧迫されやすくなります。
※健康な足でもつま先は多少外向きですが、過回内だとその角度が強くなりやすいです。
【対策】インソールで内側縦アーチをサポート
対策としては、アーチサポート付きのインソールで内側縦アーチを支えることです。これによって、つま先が外に流れることを抑制できる可能性があります。
尚、通常は内側縦アーチだけでなく、外側縦アーチと横アーチもセットでサポートします。
※回内自体は歩行時の足の正常な機能ですが、過回内は歩行時だけでなく常に足が内側に倒れた状態なので、足の様々なトラブルの原因となることがあります。
※過回内の足が、必ずしも小指が当たりやすいとは言えません。
【対策】カカト周りがしっかりした靴を履く
もうひとつ大事なのは、カカト周りの強度がしっかりしていて、カカト幅も合う靴を選ぶことです。
足が必要以上に内側に傾くことを抑えるためには、靴のカカト周りの支えがしっかりしているほうが良いです。
一般的に靴のカカト周りには、ヒールカウンターと呼ばれる芯材が入っていて、型崩れしにくいようになっています(下写真)。
ですが、靴によってはヒールカウンターが入っていなかったり、入っていても軟らかくて強度のないものだったりします。
そういった靴だと、足の傾きを抑制しにくく、歩行が不安定になります。逆に硬めのヒールカウンターだと、足のカカト周りを安定させてくれます。
また、同じサイズの靴でも、靴によってカカト部分の幅が違います。カカト幅が足とピッタリ合っていないと、脱げやすいだけでなく、足の傾きを抑えることができません。
◆革を伸ばすのは自分でもできる
前項の対策をどれも試しても改善しない場合は、靴の痛い部分を伸ばしてみると良いでしょう。
靴店や靴修理店に頼めば伸ばしてくれますが、自分でも簡単にできるので、以下より解説させて頂きます。
1. ポイントストレッチャーを使う
靴の痛い部分を伸ばす時は、ポイントストレッチャーというアイテムの使用をお勧めします。
これで革を揉んで伸ばします。ただし、下記の素材の靴は伸びにくいです。
- エナメル
- ガラスレザー
- 合成皮革
- 合成繊維
- キャンバスやデニム等の生地素材
- 登山靴やワークブーツに使われることの多い厚みがあって頑丈な革
ポイントストレッチャーはそんなに高価ではないので、1つ買っておくと便利です。
amazonで買う 楽天で買う2. 革にデリケートクリームを塗る
革製品のお手入れに使うデリケートクリームという物があるのですが、これは革に柔軟性を与える効果もあります。
これを塗れば足当たりも多少ソフトになるので、是非試してみて下さい。
靴の痛い部分の内側にも塗ると尚良いです。(内側が起毛革や生地素材等の場合は使用できません)
ちなみにデリケートクリームは、シューケア用途としては下記のメリットがあります。
- 水分を多く含んでいるので、革をしっとりとさせて乾燥を防ぐ。(既に乾燥している革にも有効)
- 油分が少なく、シミになりにくいので、デリケートな素材にも使用できる。
- 無色透明なので、革の色に関係なく使え、バッグや小物等、靴以外の革製品にも使える。
※起毛素材、爬虫類革等、使用できない素材があります。
※ロウ分が少ないので、ツヤはあまりでません。
デリケートクリームは、様々なメーカーから出ていますが、当店では老舗靴クリームメーカーのコロンブス社のモノを扱っており、amazonや楽天でも買えます。
amazonで買う 楽天のコロンブス公式ショップで買う◆靴先進国ドイツのフィンコンフォートをお勧めする3つの理由
当店では、小指が当たりやすい方に、finn comfort(フィンコンフォート)というドイツメーカーの靴をお勧めすることがあります。
中心価格が3~4万円台で安くはありませんが、修理、お手入れをしながら大事に履けば10年以上は持ちます。
お勧め理由はたくさんありますが、今回は次の3つに絞ります。
1. 小指があたりにくいつま先のフォルム
2. アーチサポート付きインソールを備えている
3. カカト周りがしっかりしている
※現在、当店ではレディースシューズのみ取り扱いしております。
それぞれ解説します。
1.小指があたりにくいつま先のフォルム
全てではありませんが、フィンコンフォートのつま先のフォルムは足なりになったものが多いので、小指を圧迫しにくいです。
2.アーチサポート付きインソールを備えている
フィンコンフォートの全モデルには、アーチサポート付きインソールが入っています。
これによって、前述した開帳足や過回内を抑制しやすくなります。
3.カカト周りがしっかりしている
前述の通り、靴のヒールカウンターは軟弱なものではなくて強度のあるものが良いです。
フィンコンフォートのヒールカウンターは、しっかりしたものが使われているのでカカト周りを安定させてくれます。
◆セミオーダーインソールもお勧め
アーチサポート付きインソールの入っていない靴には、セミオーダーインソールの装着もお勧めしており、お客様の足に適した形状、材料でお作りします。
装着できない靴もあるので、詳細はセミオーダーインソールのページをお読み下さい。
◆まとめ、専門家の力も借りましょう
小指があたる主な原因は下記の5つで、複数該当する場合もあります。
- 大きめのサイズや幅広の靴を履いている
- 靴をきちんと履いていない(ひも靴等の場合)
- 足と靴のつま先型が合わない(特にスクエア型の足)
- 足が外側荷重になりやすい
- つま先の向きが外側に強く流れやすい
自分だけで小指があたりにくい靴を見つけるのは難しいので、シューフィッター等の専門家に相談することをお勧めします。
◆来店予約・お問合せ
靴選びでお困りでしたら、お気軽にご相談ください。
当店は、お一人お一人じっくりと対応させて頂いておりますので、ご予約優先制となっております。
初めて来店される方は足型計測をさせて頂きます。来店予約、ご不明な点は以下のフォームかお電話にてにお問い合わせ下さい。
◆追伸【無料で読めるものもあり!!】足と靴でお悩みの方にお勧めの本2選
最後にお勧めの本を紹介させて下さい。
1冊目は、靴の大切さを啓蒙している整形外科医の塩之谷香先生が書かれた本で、日本人の靴の選び方がいかに間違っているかを大変わかりやすく解説しています。
2冊目は、中敷調整に特化した専門店の西村泰紀さんが書かれた本で、靴選びでお困りの女性向けに書かれています。靴のサイズ選びやフィッティングのポイント、市販インソールの活用方法等がわかりやすく解説されています。
また、この本はAmazonが提供する電子書籍の定額制サービス”Kindle Unlimited”でも読めます。”Kindle Unlimited”とは、月額980円で200万冊以上の書籍(マンガや雑誌もあり)が読み放題のサービスです。初めての方には無料お試し期間が30日間あり、その間に読み終えて解約すれば費用もかかりませんので是非お試しください。(※解約手続きをしなければ自動継続となります)
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