外反母趾はオーダーシューズでなくても大丈夫!まずは靴選びを見直そう!
こんにちは!外反母趾などでお悩みの方の靴専門店、シューズ・ハチローの井口です(シューフィッター有資格者)。
外反母趾で合う靴がないんです。なのでオーダーシューズを作りたいんです!
オーダーシューズもいいのですが、お客様の場合は既成の靴でも合う靴がありますよ~。
えっ!そうなんですか?
既成の靴で足に合うのがないから、オーダーするしかないと思っていたのですが…
という感じのやり取りがお店でよくあります。
今回の記事は、以下の方に読んで頂きたい内容です。
- 外反母趾でオーダーシューズを作りたいと思っている方
- オーダーであれば理想的なデザインなおかつ足が痛くならない靴に仕上がると思っている方
- 既成靴では自分の足に合わないと思っている方
- オーダーシューズを買ったけど合わなかった方
この記事の結論は、「外反母趾で足が痛くなるのは、自分に合う靴が本当にないのではなく、靴の選び方に問題があることが多いから」ということです。
※決してオーダー靴を買うことを否定しているのではありません(当店でもセミオーダー靴を販売しています)。
この記事を読んで頂ければ、「外反母趾だからと言って必ずしもオーダーシューズやオーダーパンプスを作る必要はない」ということがわかります。
目次
◆オーダー靴なら足が痛くならないは幻想
オーダー靴は、自分の足に合わせて作るのだから、当然ピッタリ足に合うのでは?
そう思いますよね?「オーダー」という言葉が期待値を上げてしまうのはわかります。
でも、残念ながらそれは幻想です。
理由は、足の大きさは一定ではないからです。
足は静止時、歩行時、走行時で、大きさが変化します。
オーダー靴は、静止時の足に合わせて作るので、静止時にはピッタリでも歩行時には合わなくなることがあります。
また、足の大きさは時間帯によっても違います。
午前中に計測した数値をもとに作製した靴と、午後に計測した数値をもとに作製した靴では、大きさが多少違ってしまいます。
靴が足の状態に合わせて変化すれば、ピッタリ合うかもしれませんが、それは不可能です。
靴がきつくなったり、ゆるくなったり、場合によっては足指が痛くなるのは当然なんです。
なので、オーダーであっても購入後にフィッティング調整が必要な場合が多いと思ってください。
調整の必要性については後述します。
◆足に合う靴が見つからない3つの理由。オーダー靴は必須ではない!
外反母趾でオーダー靴を作りたいという方で、「足に合う靴がないから、オーダーしかない」と思い込んでいることが少なくありません。
確かに、足の変形や痛みが強い方は、本格的なオーダーでないと難しいことがあります。
しかし、そこまで変形や痛みが強くなければ、既成の靴でもフィットします。
でも、今まで何足も靴を買ったけど、いつも失敗します。ホント合う靴がないんです!
と、この様におっしゃる方はたくさんいます。
ですが、本当に合う靴がないのではなく、靴の選び方に問題があることが多いんです。
足に合う靴が見つからない理由はいくつかありますが、今回は下記の3つに絞って解説します。
- 自分の足のサイズと特徴を正しく知らないから
- 自己流で靴を選んでいるから
- 間違った知識で靴を選んでいるから
それぞれ解説します。
【理由1】自分の足のサイズと特徴を正しく知らないから
多くの方が自分の足のサイズと特徴を正しく知りません。
小さい足なのに、大きい足と思っていたり、足幅が狭いのに、広い思っていたり、甲が低い足なのに、高い足と思い込んでいたりします。
自分の足の特徴を正しく知れば、既成の靴でも足に合ったものを選びやすくなります。
ただし、自分だけでは自分の足の特徴を正しく知ることは難しいです。
なので、シューフィッター等の専門家の力を借りる必要があります。
次項の【理由2】で詳しく解説します。
【理由2】自己流で靴を選んでいるから
【理由1】に書いた通り、自分の足の特徴を正しく認識している方はほとんどいません。
なので、靴を買う時は自分だけで選ばず、シューフィッター等の専門家も頼ったほうが賢明です。
シューフィッターは足型計測をしてくれるので、お客様の足の正しいサイズ、特徴を伝えてくれます。
我々は仕事柄色んな足型を見ているので、この足だったらこの靴がフィットするというのがイメージできます。
美容師さんがその人に似合うヘアースタイルをイメージできるのと同じです。
【理由3】間違った知識で靴を選んでいるから
例えば、下記のような靴の選び方をしてませんか?
- 幅広の靴や、大きめのサイズの靴ばかり選ぶ
- やわらかい靴を選ぶ
- スリッポン等の脱ぎ履きしやすい靴をよく選ぶ
全部当てはまります。
実はこれらの選び方は外反母趾を悪化させることがあります。
えー!! そうなんですかー!!足に良いと思っていたのに。
はい、例外はありますが、基本そうなんです。順番に解説していきますね。
【例1】幅広の靴や、大きめのサイズの靴ばかり選ぶ
外反母趾は見かけ上は幅広の足です。
ですが、外反母趾の方は母趾が変形していなければ、幅が細い足の方が多いんです。もちろん、本当に幅広の方もいます。
なのに、楽だから、痛くないからという理由で、EEEやEEEE等と表記された幅広の靴を選んでいる方が多くいます。
それと、大きめのサイズの靴を履くと楽に感じるので、大きめのサイズの靴を選んでいる方もよく見かけます。
そのような幅の広い靴、大きめのサイズの靴を履くことは、一見、足に負担がなさそうですが、逆効果になることがあります。
そうは言っても、幅が狭い靴やピッタリサイズの靴だと、痛くて履けないんです!
そうですよね~。そのお悩みについては下記の記事をご参照下さい。
【例2】やわらかい靴を選ぶ
靴は、足指と接する部分はやわらかくても良いのですが、外反母趾の方は、全体的にフニャフニャした靴を履いていることが少なくありません。
そういう靴もダメなんですか?
はい、そういう靴は足のカカト周りを安定させることができないのが問題です。
下のイラストのように外反母趾は足のアーチ低下により、カカトの骨が必要以上に傾きやすいことが多いです。
それを抑えるためにカカト周りが硬くしっかりとした靴をお勧めします。
一般的には、靴のカカト周りにはヒールカウンターという心材が入っています。
しかし、安価な靴だとそれが入っていなかったり、入っていても軟弱なものだったりするので、カカト周りは靴を選ぶ際の重要なチェックポイントです。
当店で扱っている靴は、オーダー靴も既成靴も、ほぼ全てヒールカウンターがしっかりとしたものです。
【例3】スリッポンやローファー等の脱ぎ履きしやすい靴をよく選ぶ
スリッポン等の脱ぎ履きが楽な靴を好む方が多くいます。
だって、ひも靴は脱ぎ履きが面倒くさいもん。
気持ちはわかりますが、外反母趾の方はひも靴やマジックテープの靴をお勧めします。
何故なら、外反母趾は開張足(足の横アーチが低下して足幅が広がる状態)が進行したもので、ひも靴等のほうが、開張足を抑えやすいからです。
※スリッポン等を履くことを全否定はしません。
◆靴は購入後でも調整が必要ということを前提にする
靴屋さんで試し履きをした時はピッタリなんだけど、長く履いていると足が痛くなることがあるんですけど…。
それはよくあることで、既成靴でもオーダー靴でも同じです。
その理由は、前述の通り、足の大きさは変化するもので、一定でないからです。
シューフィッター等のプロがきちんと計測とフィッティングをしていても、そうなることはあります。
靴は「購入した後でも調整が必要なことが多い」という認識を持って頂きたいのです。調整を何回か繰り返して、次第に足に合ってゆくというケースは多いです。
特に機能性よりもファッション性を重視した靴ほどそうです。
当店には、他店でオーダーシューズを作ったけど、足に合わなかったと、ショックを受けている方が相談に見えることもあります。
ショックを受けるのは、やはり「オーダーシューズは足に合わせて作るんだから、痛くなるはずがない」という期待値が高いからなのかもしれません。
でも、繰り返しますが、オーダーであっても購入後に調整が必要だと思ってください。
もし今履いている靴が合わないという場合は、購入したお店で調整をしてもらって下さい。
それによって履きやすくなる可能性があります。
※現在、当店では他店様で購入された靴の調整は原則お受けしておりません。
◆オーダーシューズでも履きやすさとデザイン性との両立は難しい
外反母趾でもお洒落な靴を履きたいんです。でも外反母趾に優しそうな靴は、デザインがイマイチなのが多いんですけど…
オーダー靴なら、もっとお洒落な靴を作れるのでは?
お気持ちはわかります。でも足を痛めにくい靴を作ろうとすると、どうしても靴の形を足の形に寄せないといけないので、フォルムの美しさが劣りやすいんです。
一般的に靴作りのベースとなる木型は、足型に近い形状にするほど見栄えが劣り(下画像の右)、美しい形状にするほど足に負担がかかりやすくなります(下画像の左)。
シャープなフォルムの靴でも、足が痛くならなければいいんだけどな~。
残念ながらそれは難しいですね~。
足と靴の形が違い過ぎるので、足が痛くなりやすいんです。
ですが、足に優しいフォルムの靴でも、革の発色の美しさや、カラーリング技術でデザインの見栄えを良くすることはできます。
当店で扱っているドイツ健康靴「Finn Comfort(フィンコンフォート)」(下写真)も、カラーリングやアートライクな模様のプリントの美しさが魅力です。
なるほど〜。人間の場合でも、美男美女でなくても、ファッションや髪型、メイクとかで印象を変えることができますからね〜。
◆オーダーシューズの種類は大きく2つに分類される
「セミオーダー」や「フルオーダー」とか、オーダーという名の付く靴はいくつかありますが、どう違うのですか?
実は定義が明確になっておらず、同じ名称でも靴店やメーカーによって内容が違うことがあります。
ここでは一般的な違いを解説しますね。
オーダーシューズは、大きく「セミオーダータイプ」と「フルオーダータイプ」の2種類に分類されます。
【1】セミオーダータイプ
パターンオーダー、イージーオーダー等と呼ばれることもあります。
一般的には、デザインや素材、カラーの種類のみを選択できるオーダータイプです。
また、メーカーによっては、木型(靴型とも呼ばれます)の種類を複数用意していることがあります。
その場合は、自分の足型に近い木型で作ることができるので、より足に合った靴を作りやすくなります。
メリット |
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既成靴よりも素材やカラーの選択肢が広がる。 |
木型を選べるタイプであれば、足に合う靴を見つけやすい。 |
リーズナブル。 |
比較的早めに完成する。 |
デメリット |
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デザインをメーカー指定のものから選ぶため、フルオーダータイプよりも自分の思い通りの靴になりにくい。 |
木型に種類がないと、足に合う方が限られる。 |
【2】フルオーダータイプ
ビスポークシューズとも呼ばれ、お客様専用設計の木型で作るオーダータイプです。
メリット |
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自分用の木型で作るので、よりフィットした靴になりやすい。 |
デザイン、素材、カラーの選択肢がセミオーダーよりも広いので、お客様の思い通りの靴にしやすい。 |
整形靴と呼ばれるフルオーダー靴であれば、足に重度のトラブルがある方でも対応できる。 |
デメリット |
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価格が高い。 |
完成までに時間がかかる。 |
◆当店のイージーオーダーシューズ。3つのお勧めポイント!
既成の靴を選ぶ時、デザインはいいんだけど、好みの色がない、とか、この飾りがないほうが良い。と思うことがあるのよね~。
そんな方に当店でお勧めしているオーダーシューズがありますよ~。
シアンシューズという東京の老舗婦人靴メーカーのもので、セミオーダータイプです。
↓インスタでも紹介しています。
外反母趾の変形や痛みが強い方は難しいですが、フルオーダーよりも低価格、短期間でお作り出来ます。
レザースニーカーやローファー等のカジュアル、パンプスやブーツ等、約16種類のデザインからお選び頂けます。
以下よりお勧めポイントを3つ記載します。
【1】靴幅を2種類から選べる
既成靴では、1つのデザインに靴幅のバリエーションがないことが多いですが、この靴は、靴幅を「スリム」と「ワイド」の2種類から選べるので、足に合うほうでお作りできます。
ほっそりした足でカカトが脱げやすい方は、スリムタイプをお勧めします。
【2】木型調整できる
外反母趾部分や小指部分の幅を数ミリ程度広くして作ることができます(有料)。
これは木型調整と言って、木型を数ミリ盛って製造します。
【3】豊富な素材の中から選べる
90種類以上ある革サンプルの中から選べます。お探しの色がきっとあるはずです。
また外反母趾の方にお勧めの、足当たりのソフトな素材もあります。
靴底も、フラットな形状の「成型底」と「ワンヒール」のどちらかを選べます。
◆まとめ:自分の足を正しく知らなければ、ジャストフィットの靴に出会えない
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では、この記事のまとめです。
■足の大きさは常に変化するので、「オーダー靴なら足が痛くならない」ということはない。
■足に合う靴が見つからない主な理由は下記の3つ
- 自分の足のサイズと特徴を正しく知らないから
- 自分だけで靴を選んでいるから
- 間違った知識で靴を選んでいるから
■靴は購入後でも調整が必要ということを前提にする
■オーダーシューズであっても履きやすさとデザイン性との両立は難しい
■オーダーシューズの種類は大きく下記の2つに分類される
- セミオーダータイプ
- フルオーダータイプ
■ 当店でお勧めのオーダーシューズのお勧めポイント3つ
- 靴幅を2種類から選べる
- 木型調整できる
- 豊富な素材の中から選べる
以上です。もしオーダーシューズをご検討でしたら、お気軽にご相談ください。
※ご来店の場合はご予約をお願い致します。
◆追伸【無料で読めるものもあり!!】足と靴でお悩みの方にお勧めの本を2冊紹介
最後にお勧めの本を紹介させて下さい。
1冊目は、靴の大切さを啓蒙している整形外科医の塩之谷香先生が書かれた本で、日本人の靴の選び方がいかに間違っているかを大変わかりやすく解説しています。
2冊目は、中敷調整に特化した専門店の西村泰紀さんが書かれた本で、靴選びでお困りの女性向けに書かれています。靴のサイズ選びやフィッティングのポイント、市販インソールの活用方法等がわかりやすく解説されています。
また、この本はAmazonが提供する電子書籍の定額制サービス”Kindle Unlimited”でも読めます。”Kindle Unlimited”とは、月額980円で200万冊以上の書籍(マンガや雑誌もあり)が読み放題のサービスです。初めての方には無料お試し期間が30日間あり、その間に読み終えて解約すれば費用もかかりませんので是非お試しください。(※解約手続きをしなければ自動継続となります)
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