外反母趾の方がカカトの脱げやすい靴を選びやすい2つの理由
こんにちは!外反母趾などでお悩みの方の靴専門店、シューズ・ハチローの井口です(シューフィッター有資格者)。
外反母趾なんですけど、どの靴を履いてもカカトがピッタリと合わなくて脱げてしまうんです。どうしてですかー?
外反母趾でそのような方って多いですよ~。これから理由を説明させて頂きますね。
今回は、外反母趾で靴のカカトが脱げやすい方のための記事です。これを読んで頂ければ、カカトが脱げやすい原因と、カカトがピッタリと合う靴の選び方を知ることができます。
目次
◆カカトが脱げやすい原因を2 つ解説
カカトが脱げやすいのは、以下の2つが原因となっていることが多いです。
- 大きめのサイズを選ぶから
- 幅広の靴を選ぶから
それぞれ解説します。
【原因1】大きめのサイズを選ぶから
私、昔は23cmの靴を履いていたんですけど、外反母趾の痛みがひどくなってから、24.0~24.5cmの靴を選ぶようになったんです。
それは23.0cmの靴を履くと痛いからですか?
そうなんです。サイズアップしないと外反母趾のところが痛いんですよ~。でもカカトが脱げやすいんです。
そのようなお客様がよくいらっしゃいますよ~。その理屈は簡単で、靴はサイズが上がると、靴全体が大きくなるからです。つまり、靴の全長だけでなく、横幅、高さ、太さも変化するということです。
これではカカトがピッタリと合わないのが当然です。
本題からそれるので、ここでは詳しく書きませんが、サイズが大きめの靴を履くと、カカトがピッタリ合わないという問題だけでなく、下記のような様々なトラブル等の原因になります。
- 靴ずれができる
- ハンマートゥーや浮指と呼ばれる足指の変形を引き起こす
- 歩行が不自然になる
- 靴が重たく感じる
- つまづきやすくなる
- 足と靴の一体感がない
足のどこかに痛みがあると、大きい靴や幅の広い靴を選びたくなりますが、それが逆効果になることを覚えておいて頂きたいです。
【原因2】幅広の靴を選ぶから
また、外反母趾の方は、EEE(スリーイー)やEEEE(フォーイー)等と表記された靴を選ぶことも多いと思います。この表記は靴の太さを表し、Eが増えるほど靴が太くなるので、横幅も広くなります。詳細は以下の記事をご覧ください。
このような靴を選ぶ理由も、靴の幅が広くないと、外反母趾が痛くなるからです。
幅広と言われる靴は、基本的に外反母趾の位置だけでなく、カカト部分の幅も広い設計になっています。
そのため、外反母趾の部分は楽でも、カカト部分の幅が合わず脱げやすくなるのです。
【補足】カカト幅が細い靴もある
4E等の幅広靴でも、外反母趾部分を広くしていても、カカト部分は細めに設計してある靴もあります。
そのような靴なら足幅部分はゆったりでも、カカトはピッタリしやすいのでお勧めできる場合もあります。
◆まずは足を計測して本当のサイズを知る
ご自身の足の本当のサイズを知らない方は、まずは専門店で足型計測をしてもらいましょう。
自分の足のサイズと特徴を正しく知らなければ、きちんとフィットした靴を選べないからです。
そして大きめのサイズを選ぶのではなく、できるだけ適正サイズの靴を選びましょう。
でも、さっき言った通り、適正サイズの靴を履くと足が痛いんです。
ですよね。では、どうすれば良いのかを以下から解説させて頂きます。
◆ぴったりサイズでも痛くならない靴の選び方のコツを5つ解説!【これでカカトも脱げにくい!】
大きめのサイズの靴、幅広の靴を選ばなくても、痛くなりにくい靴を選ぶことはできます。ポイントは以下の5つで、これでカカトも脱げにくくなります。
- 痛い部分にソフトな素材を使った靴を選ぶ
- ひも靴やストラップ付きの靴を選ぶ
- 痛い部分に縫い合わせがないデザインの靴を選ぶ
- アーチサポートインソールの入った靴を選ぶ
- シャープ過ぎないフォルムの靴を選ぶ
以下より、それぞれ解説します。
【コツ1】痛い部分にソフトな素材を使った靴を選ぶ
靴に使われる素材は様々で、素材によって軟らかさが違います。
下記の素材は、一般的には足当たりがソフトなものが多いです。
- スエード(革の裏側を起毛させた素材)
- 羊革
- 仔牛革
- メッシュ素材(但し、安価な靴だと強度がないことがあります)
- ニット素材
- ストレッチ素材
また、下の写真のように裏素材にクッション性のある素材を使った靴もお勧めです。
逆に、下記の素材は硬かったり、伸びにくいことが多いです。
- エナメル
- ガラスレザー
- 合成皮革
- 合成繊維
- キャンバスやデニム等の生地素材
- 登山靴やワークブーツに使われることの多い厚みがあって頑丈な革
【補足】素材はソフトでもカカト周りは硬い靴が良い
注意点として、素材自体はソフトでも、カカト周りには固めの芯材(ヒールカウンターと言います)が入った靴が良いです。
ナゼですか?
カカトの過剰な傾きを抑えるためです。
外反母趾の方は土踏まず(内側縦アーチ)も低下していることが多いです。
内側縦アーチが低下した足はカカトの骨が傾き、足が内側に倒れた感じになります(下のイラストの右)。
歩行時にカカトが内側に傾くのは足の自然な機能なのですが、内側縦アーチが低下していると、常に足が内倒れの状態になってしまいます。
これを足の過回内またはオーバープロネーションと言います。
ヒールカウンターのしっかりした靴を履くと、過回内が抑えられて安定感が増します。
「やわらかい」を売りにした靴の中には、ヒールカウンターの強度が低かったり、入っていないことがあるのでご注意下さい。
【補足】革をやわらかくする、伸ばすのに役立つアイテム
ここで外反母趾でお悩みの方にお勧めのお役立ちアイテムを2点紹介させて下さい。
まずはデリケートクリームという保革クリームです。
これは本来シューケアに使うクリームなのですが、革に柔軟性を与える効果もあるので、塗れば足当たりも多少ソフトになります。
外反母趾の方は、靴の内側にも塗ると尚良いです。(内側が起毛革や生地素材等の場合は使用できません)
デリケートクリームは下記のメリットがあります。
- 水分を多く含んでいるので、革をしっとりとさせて乾燥を防ぐ。既に乾燥している革にも有効。
- 油分が少なく、シミになりにくいので、デリケートな素材にも使用できる。
- 無色透明なので、革の色に関係なく使え、バッグや小物等、靴以外の革製品にも使える。
※起毛素材、爬虫類革等、使用できない素材があります。
※ロウ分が少ないので、ツヤはあまりでません。
デリケートクリームは、様々なメーカーから出ていますが、当店ではコロンブス社のモノを扱っており、amazonや楽天でも買えます。
amazonで買う 楽天のコロンブス公式ショップで買う次はポイントストレッチャーというアイテムです。
デリケートクリームを塗った後、この道具で靴の痛い部分を揉むと革が伸びます。どの程度伸びるかは革の種類によって違います。
外反母趾の方は、一つ持っておくと良いでしょう。
amazonで買う 楽天で買う【コツ2】ひも靴やストラップ付きの靴を履く
外反母趾は、下のイラストのように足の横アーチが低下して足幅が広がる「開張足」と呼ばれる状態がが進行した結果です。
なので、必要以上に幅の広い靴を履くと開張足の進行を抑制できません。
幅広の靴を履くことの問題は、下記の記事でも解説しています。
じゃあ、開張足を抑えるのにはどんな靴がいいんですか~?
ひも靴が良いです。足の甲周りをしっかりとホールドできるので、開張足を抑えられるからです。
ひも靴で開張足を抑えると、靴内で足の横アーチが復活して足幅が狭くなるので、必要以上に幅の広い靴を履く必要がなくなります。
そうなんですか~。でも私、靴ひもをいつもユルく結んでいるんです。キツく締めると外反母趾が痛いからです!
靴ひもが全てユルユルだと開張足を抑制できません。痛みが強い方は下の写真のように靴ひもをしっかり結ぶ部分と、ゆるく結ぶ部分を分けると良いですよ。
また、アイレット(靴ひもを通す穴)が多いデザインのほうが、外反母趾の部分をゆるめにできて痛めにくいです。
下の写真のような前後にマジックベルトが付いたサンダルの場合は、前のベルトを弱く、後ろのベルトをしっかりと締めると良いでしょう。
それと、パンプス等の場合は、下の写真のようなマジックテープ式のストラップが付いた靴がお勧めです。
【補足】ストラップなしのパンプスにお勧めのアイテム
ストラップ付のパンプス持ってないのよね~。
そんな時は「シューズバンド」や「フットバンド」と呼ばれるアイテムを使うといいですよ~。
例えば、コロンブス社の「ミュールバンド」という商品は、下記の3つのメリットがあります。
- マジックテープ式なので取付が簡単。
- 長さが「レギュラー」と「ショート」の2種類から選べる。
- カラーが「クリア」と「ブラック」の2種類から選べる。
※ウェッジソールには使えません。
こんな便利な物があるんですね~。試してみます!
【コツ3】痛い部分に縫い合わせがないデザインの靴を選ぶ
上の写真のようなデザインの靴は、革と革の縫い合わせ部分が外反母趾に当たって痛くなるケースがあります。
素材が重なった部分は硬くなりやすく、伸びにくいことが多いからです。このようなデザインは基本的に避けた方が無難でしょう。
【コツ4】アーチサポートインソールの入った靴を選ぶ
前述の通り、外反母趾は足の横アーチと縦アーチの低下が関係しています。
アーチサポート付きのインソールの入った靴を履くことによって、靴内で横アーチが復活し、足幅が狭くなるので、幅広の靴を履かなくても痛くなりにくいです。
【コツ5】シャープ過ぎないフォルムの靴を選ぶ
シャープな靴だと、前足部全体を強く締め付けるので、外反母趾部分も強く刺激してしまいます。なので、足指周りを締め付けにくい、足なりのフォルムの靴をお勧めします。
◆当店のおすすめの靴を2つ紹介
【お勧め1】Finn Comfort(フィンコンフォート)
ドイツメーカーのコンフォートシューズです。主な特徴を3つ解説させて頂きます。
(1)ひも靴、マジックベルト付きの靴がほとんど
Finn Comfortは、ひも靴やマジックベルト付きの靴がほとんどなので、外反母趾の方にもお勧めです。
インスタグラムでも紹介しています。
(2)アーチサポートインソールが入っている
全モデルにアーチサポートインソールが入っています。しかもこのインソールは取り外しができるので、お客様の足に合わせてカスタマイズ可能です。オーダーに近いインソールと言えます。
(3)安くはないが、靴底を純正材料で修理できるので長く履ける
Finn Comfortは価格が3~4万円台なので、安くはありませんが、靴底を純正材料で修理できるので長く履けます。手入れを怠らず大事に履けば、10年以上は持ちます。
私が持っているFinn comfortも15年以上履いていますが、まだまだ現役です。
【お勧め2】Shianイージーオーダーシューズ
シアンシューズという東京の老舗婦人靴メーカーの簡易的なオーダーシューズです。
外反母趾の変形や痛みが強い方は難しいですが、価格が4万円前後、お渡しまで1か月間程度と、本格オーダーよりも低価格、短期間でお作りすることが出来ます。
以下より特徴を5つ解説させて頂きます。
(1)木型調整できる
外反母趾部分の幅を数ミリ程度広くして作ることができます(有料)
(2)素材の種類を選べる
素材は様々な種類からお選び頂けます。スエード等のソフトなものもあります。
(3)カカト幅も比較的細めになっている
カカト幅も比較的細めの設計になっているので、カカトをしっかりとホールドします。
(4)ひも靴、マジックベルト付きの靴がほとんど
前述のFinn Comfortと同様、ひも靴やマジックベルト付きのデザインが多いので、外反母趾の方にもお勧めです。
インスタグラムでも紹介しています。
(5)アーチサポート付きインソールに交換も可能
付属のカップインソールを取り外し、アーチサポート付きのセミオーダーインソールに変更することもできます(有料)。
◆まとめ:できるだけ適正サイズの靴をえらびましょう
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ここでまとめを書きます。
●カカトが脱げやすい主な原因は下記の2つ
- 大きめのサイズを選ぶから
- 幅広の靴を選ぶから
●痛くならなくてカカトが脱げにくい靴選びのポイントは下記の5つ
- 痛い部分にソフトな素材を使った靴を選ぶ
- ひも靴やストラップ付きの靴を選ぶ
- 痛い部分に縫い合わせがないデザインの靴を選ぶ
- アーチサポートインソールの入った靴を選ぶ
- シャープ過ぎないフォルムの靴を選ぶ
◆来店予約・お問合せ
靴選びでお困りでしたら、お気軽にご相談ください。
当店は、お一人お一人じっくりと対応させて頂いておりますので、ご予約優先制となっております。
初めて来店される方は足型計測をさせて頂きます。来店予約、ご不明な点は以下のフォームかお電話にてにお問い合わせ下さい。
◆追伸【無料で読めるものもあり!!】足と靴でお悩みの方にお勧めの本を2冊紹介
最後にお勧めの本を紹介させて下さい。
1冊目は、靴の大切さを啓蒙している整形外科医の塩之谷香先生が書かれた本で、日本人の靴の選び方がいかに間違っているかを大変わかりやすく解説しています。
2冊目は、中敷調整に特化した専門店の西村泰紀さんが書かれた本で、靴選びでお困りの女性向けに書かれています。靴のサイズ選びやフィッティングのポイント、市販インソールの活用方法等がわかりやすく解説されています。
また、この本はAmazonが提供する電子書籍の定額制サービス”Kindle Unlimited”でも読めます。”Kindle Unlimited”とは、月額980円で200万冊以上の書籍(マンガや雑誌もあり)が読み放題のサービスです。初めての方には無料お試し期間が30日間あり、その間に読み終えて解約すれば費用もかかりませんので是非お試しください。(※解約手続きをしなければ自動継続となります)
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