外反母趾に”EEEE”(幅広)の靴が良いとは限らない。足の広がりを抑えることが重要。
お客様によく聞かれる質問の一つで、「外反母趾だから EEE(3E) やEEEE(4E) の靴を探している」というものがあります。つまり「幅広の靴を履きたい」ということです。
確かに、幅広の靴を履いたほうが良い方もいます。
ですが、幅広の靴を履くことによって、かえって痛みが強くなる方もいます。逆に幅の広くない靴でも楽に歩けている方もいます。
この記事は、外反母趾の方が幅広靴を履くことによって生じる問題について書いています。
外反母趾の方が具体的にどんな靴を選んだらよいのかは、こちらの記事「外反母趾の痛みから解放される靴選びのポイント」をお読みください。
外反母趾の方に限らず、男女問わず幅広靴を好む方が多いので、そのような方にも読んで頂けたらと思います。
尚、外反母趾は中高年女性に多いイメージがあるかもしれませんが、男性や若年層でも外反母趾になる方もいます。
(※本当の外反母趾かどうかは医師による診断が必要です)
目次
EEE や EEEE は靴の幅というより、靴の太さを意味する
まずは、EEEやEEEEの表示が何なのかを説明します。この表示をきちんと理解していない方が多いです。
私、外反母趾なんだけど EEE や EEEE とかの幅の広い靴はある?
ここで言う靴の幅は、つま先の幅ではなく、下の写真のように靴底の一番広い部分で、足で言うと足幅の一番広い部分の幅のことです。この部分を「ボール・ウイズ」と言います。
ボール(ball)とは「(体の)ふくらんだ部分」という意味で、足を見ると下の写真のように親指と小指の付け根のあたりがふくらんでいますよね。ウイズ(width)は「幅」という意味です。
ありますけど、なぜ幅広の靴を履きたいのですか?
見ての通り、親指の付け根が「くの字」型に変形していて、足幅が広がっているの。だから靴の幅も広くないと痛くて履けないのよ。
確かに、お客様の足は変形で幅が広くなっていますね。
でも、ほっそりとした足なので、本来の骨格的には足幅の狭い足です。つまり外反母趾になる前の足幅は狭いんです。
へー、そうなんだ。私ずっと幅広の足だと思っていた。
これは私の主観なので正確な統計ではありませんが、外反母趾の女性は、肉付きの良いふっくらとした足よりも、どちらかと言うと骨ばったほっそりとした足のほうが多い傾向があるように感じます。
ところで、EE、 EEE 、EEEE等表示の意味をどのように理解していますか?
靴の横幅を表す記号なんじゃないの?
“E”の数が多くなるほど横幅が広くなるんじゃないの。
それも間違えではないのですが、正確にはボール部分の「幅」だけでなく「太さ」を表し、「ボールガース」または「足囲(そくい)」と言います。
足囲はJIS規格によって数値が決められています。
ガース(girth)とは「(ものの)周囲(の寸法)」という意味です。
そうなんだ、ズボンで言うとウエストのことかしら。
その通りですね。
例外はありますが、EEEE等の靴が合う方というのは、単に足幅が横に広いだけでなく、肉付きの良いふくよかな足の方です。
ふくよかな体型の方がウエストの太いズボンを選ぶのと同じです。
なので、ふくよか足で外反母趾の方がEEEやEEEEの靴を選ぶのはあまり問題ないのですが、ほっそり足で外反母趾の方がEEEE等の太い靴を履くときちんとフィットしないことがあります。
幅広の靴を履くとカカトが脱げやすくなったり、つま先が痛くなることも
外反母趾の方は(そうでない方もですが)、履きやすいと思って幅広の靴を選ぶことが多いと思うのですが、そのような靴でも足に合わず困っている方も多くいます。
幅広の靴を履くとカカトが脱げやすくないですか?
そうなの。カカトが脱げやすいの。
ですよね。実は幅広の靴はそこが問題なんです。
その問題というのは、ボール部分だけでなく靴全体の幅が広いことです。
靴はカカト周りと甲周りをしっかりとホールドしなければなりません。でないと足が泳いでしまうので、カカトが脱げて足指も痛めてしまいます。幅広の靴を履くと、足指の付け根周りは楽に感じても、カカト周りがぴったりとフィットしないことがあります。
※靴によってはボール部分を広くしていても、カカト部分は小さめに設計してあるものもあります。そのような靴ならフィットしやすいです。
足囲表示は鵜呑みにしてはいけない。同じ足囲でも様々な理由でフィット感は異なる。
「この靴はEだから私には無理」と足囲表示だけを見て足に合うかどうかを判断している方をよく見かけますが、そのような選び方はお勧めしません。
同じ足囲の靴でもメーカーによってフィット感が全く違うのよね。
きつめに感じるEEEEもあれば、ゆるめに感じるEEEEもある。
その通りですね。メーカーによってまったく違います。
その理由は色々とあります。
まず、全てのメーカーがJIS規格通りの足囲表示をしているわけではありません。
また、同じメーカーの同じ足囲表示の靴であっても、靴のデザイン、素材の伸縮性、靴の製法等が違うとフィット感は変わります。
なので、靴に表示の足囲は鵜呑みにせず、きちんとフィッティングをする必要があります。
そうなんだ。
ところで、ウォーキングシューズなんかだと細い靴ってあまり見かけないような気がする。
そうですね。
E表示以下の靴はあまり多くないですね。
私みたいな靴屋関係者は色々な靴を見ているのですが、例えばEEEEと表示されていても実際はEEぐらいの作りだなと感じることがよくあります。
これは「幅広でゆったりした靴が楽で履きやすい」と思い込んでいる方が多いので、本当はEEEEの作りでない靴でも、敢えてそのように表示しているからなのかもしれません。
※最近は以前と比べると細い靴も増えています。これは、昔は日本人の足は幅広甲高と言われていたのが、逆に今の若年層の方に「ほっそり足」も多くなっていることも一因だと思います。
足囲は必要以上に太くない方が良いが、つま先は広いほうが良い
シャープなフォルムの靴ほど美しく見えるかもしれませんが、履きやすさを重視するなら、つま先が広めの足なりフォルムがお勧めです。
EEEEの靴を履いても、足のつま先が痛くなるのよね。
これって、カカトと甲回りがゆるくて足が前滑りするからなの?
勿論それも原因の一つなのですが、ボール部分は広く太くても、つま先が狭くシャープになっている靴がたくさんあります。そのような靴だと足指が痛くなりやすいです。
外反母趾であっても、足囲は必要以上に太くないほうが良いのですが、逆に靴のつま先(足指周り)は広いほうが足に優しいです。
つまり、シャープなフォルムよりも、足なりのフォルムのほうが楽なんです。
考えてみれば当たり前なんですけどね。
外反母趾は足幅の広がりを抑えるために、足のアーチをサポートすることが重要
外反母趾や偏平足等の様々な足トラブルは、足のアーチが低下することによって生じていることが多いです。足を楽な状態にするには、低下したアーチをサポートしてあげることが必要です。
外反母趾の方は、下の画像のように開張足といって足の横アーチが低下して足幅が広くなっています。
なので、靴を選ぶときは足幅の広がりを抑える、つまり開張足を抑えることができるものが良いです。具体的には下記のような靴です。
- ひも靴やマジックベルトのついた靴
- 足のアーチをサポートするインソールが入っている靴(もしくは別途購入したりオーダーする)
インソールで横アーチを持ち上げると、下の画像のように足幅が狭くなる状態になるので、幅の広くない靴でも履けることがよくあります。
まとめ
外反母趾の方がどのような靴を選んだら良いのかは、こちらの記事「外反母趾の痛みから解放される靴選びのポイント」で更に詳しく書いていますが、今回の記事でお伝えしたいポイントは下記の通りです。
- 外反母趾だからといって幅広の靴が合うとは限らない
- EEEE等の表示は靴幅というより靴の太さを表す
- 靴の足囲表示は鵜呑みにせず、きちんとフィッティングする
- 靴のつま先は広いほうが足指が痛くなりにくい
- 靴選びで重要なのは開張足を抑えること
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