“EEE”や”EEEE”の意味は、ズボンのウエスト表記のようなもの
こんにちは!外反母趾などでお悩みの方の靴専門店、シューズ・ハチローの井口です(シューフィッター有資格者)。
靴底の裏に” EE”とか“EEE”とか”EEEE”って書いてあることがあるけど、これって“E”の数が多くなるほど横幅が広くなるってことかしら?
それも間違いではないのですが、正確には靴の甲回りの「太さ」を表し「足囲(そくい)」または「ボールガース」と呼ばれます。
※読み方はEE(ツーイー)、EEE(スリーイー)、EEEE(フォーイー)です。
この記事を読んで頂ければ、足囲の意味がわかるだけでなく、それを靴選びの際にどう活かしたら良いのかもわかります。
目次
- ◆足囲は足のボール部分の太さのこと
- ◆足囲はJIS規格になっている
- ◆横幅のことはボールウイズと呼ばれる
- ◆同じ足囲でもフィット感が違う4つの理由
- ◆足囲表記を鵜吞みにせず、きちんとフィッティング確認すること
- ◆幅広の靴は、カカトの幅も広いものが多い
- ◆自称幅広足の方は、細い足の方が多い。まずは足型計測で正しい足囲を知ること
- ◆足囲の計測で判定結果がコロコロ変わる3つの理由
- ◆足囲は必要以上に広くない方が良いが、つま先は広くても良い
- ◆外反母趾に必ずしも幅広靴が良いとは言えない
- ◆ひも靴は融通性が高いのでおすすめ
- ◆まとめ:足囲表記を鵜呑みにせず、フィッティングを重視すること
- ◆来店予約・お問合せ
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◆足囲は足のボール部分の太さのこと
ボール(ball)とは「(体の)ふくらんだ部分」という意味で、足を見ると親指と小指の付け根のあたりがふくらんでいますよね(上写真)。
そのボール部分をメジャーでぐるりと一周測った太さを「足囲」または「ボールガース」と言います。
「ガース(girth)」は「周囲(の寸法)」という意味なので、ボール部分のガースと言う意味です。ズボンのウエストのようなものと考えれば良いでしょう。
なので、EEEEと靴底裏に表記された靴であれば、EEEEの足に対応しているということです。
◆足囲はJIS規格になっている
足囲は、女性用、男性用、子供用、それぞれでJIS規格になっています。
例えば、女性の場合、足の計測の結果、足長が230mmで足囲が228mmの場合、JISの表(女性用)に当てはめてみると、足長「23cm」、足囲「E」が、その方の靴の適合サイズとなります。
しかし、実際の現場では、この表に当てはめて靴を選んでも上手くいくことは少ないです。その理由は後述します。
◆横幅のことはボールウイズと呼ばれる
ちなみに足や靴の横幅のことは、足幅(そくふく)またはボールウイズと呼ばれます。
「ウイズ(width)」は「幅」という意味です。ボール部分の横幅のことなので、ボールウィズ(ball width)と呼ばれます。
靴業界でも足囲表記をウイズやワイズと呼ぶことがありますが、本当はガースと呼ぶほうが正確なんです。
靴に足囲だけでなく、足幅まで表記しているメーカーはごく一部で、多くのメーカーは足囲も足幅も分けずに表記しています。
同じ足囲でも足幅が異なる場合があるので、本来は足囲と足幅を別々に表記したほうが良いのですが、そこまで徹底するのは大変なんです。
◆同じ足囲でもフィット感が違う4つの理由
同じ足囲の靴でもメーカーによってフィット感が全く違うのよね~。きつめに感じるEEEもあれば、ゆるめに感じるEEEもあります。
そうなんです。
その理由は色々ありますが、今回は以下の4つに絞って解説します。
- JIS規格に準じた寸法になっていないから
- デザインによって違うから
- 素材によって違うから
- 形状によって違うから
それぞれ解説します。
●理由1. JIS規格に準じた寸法になっていないから
そもそもJIS規格に準じた寸法で作っておらず、メーカー独自の考えで足囲の表記をしていることが多いです。
●理由2. デザインによって違うから
メーカーは、同じ木型で色々なデザインの靴を製造することがあります。
上の写真の2つの靴は、メーカー、木型、サイズ、足囲が同じですが、ローファーのデザインとベルト付きのデザインではフィット感が違います。
ローファーはゆるかったり、キツかったりしても、ベルト付きのほうはピッタリということがあります。
その理由は、ローファーは甲部分の調整ができませんが、ベルト付きのほうはベルトで甲部分の調整ができるからです。
●理由3. 素材によって違うから
靴の甲素材には、革、合成皮革、メッシュ、キャンバス等、様々なものが使われます。また、革でも牛革、ひつじ革、やぎ革等、種類豊富です。
素材によって、伸縮性や硬さが違うので、これもフィット感に影響します。同じ足囲の靴でも、メッシュ素材の靴と、革の靴では、メッシュ素材のほうがソフトなので、幅広に感じることがあります。
●理由4. 形状によって違うから
前述のボールウイズの説明のところでも触れましたが、同じ足囲の靴でも、横幅と高さが違うことがあります。
形状が違うと当然フィット感が違います。
◆足囲表記を鵜吞みにせず、きちんとフィッティング確認すること
「この靴はEEEEじゃないから私の足には無理」などと足囲表記だけを見て決めつけている方をよく見かけますが、そのような選び方はお勧めしません。
靴の足囲表記は、前述した様々な理由で当てになりません。
表記を鵜呑みにせず、きちんとフィッティングをする必要があります。
これは自分だけでは難しいので、シューフィッター等の専門家の手を借りることをお勧めします。
きちんとした靴店であれば、取扱商品を自身で試し履きしているので、その靴の足入れ感を把握しています。
例えば、この靴はEEEでも細めのEEEだなとか、自ら確かめています。
◆幅広の靴は、カカトの幅も広いものが多い
EEEE等の太い靴ほど、基本的にカカト部分の幅も広くなります。
足指の付け根周りは楽に感じても、カカトが脱げやすいという場合、足と靴のカカト幅が合っていない可能性があります(他の原因の可能性もあります)
靴によっては、ボール部分を広くしていても、カカト部分は小さめに設計してあるものもあります。そのような靴なら前足部はゆったりでも、カカトはピッタリとしやすいです。
◆自称幅広足の方は、細い足の方が多い。まずは足型計測で正しい足囲を知ること
多くの方は自分の足の特徴を正しく捉えていません。
実は、幅広の靴を一生懸命に探している方は、幅広とは真逆の細い足の方が多いです。
その理由の一つは、幅広の靴だと締め付け感がなくて楽に感じるからです。
ですが、楽に感じても足にきちんとフィットしていないので歩きにくいです。
まずは専門家に足型計測をしてもらって、適切な足囲の靴を選びましょう。自分の足の特徴を知ることができれば、靴選びで失敗することが減ります。
●EEEEが合う足は、肉付きの多いふくよかな足
EEEE等の太い靴が合う方というのは、基本的に単に足幅が横に広いだけでなく、肉付きの多いふくよかな足の方です。
ふくよかな体型の方がウエストの太いズボンを選ぶのと同じです。
前述の通り、自称幅広足の方は、細い足のことが多いので、EEEE等の太い靴は基本的に合いません。
◆足囲の計測で判定結果がコロコロ変わる3つの理由
足囲を計測する際、計測数値が1mm違うだけで判定結果が変わることがあります。
判定結果は絶対的なものではないので、目安にする程度にとどめましょう。
いくつかの靴屋さんで足囲を計測してもらっとことがあるんすが、足囲Dと言われたり、EEと言われたり、お店によって判定結果が違うんですけど…。
そうなんです。理由はいくつかありあますが、今回は次の3つに絞って解説させて頂きますね。
- 足の大きさは体重のかかり具合で変化するから
- 計測者によって数値は変わるから
- 足の大きさは時間帯によって変化するから
それぞれ解説します。
●理由1. 足の大きさは体重のかかり具合で変化するから
足の大きさは、荷重位(体重がかかった状態)と非荷重位(体重がかかっていない状態)で変化します。
お店によって、立った状態で計測(立位計測)する場合と、座った状態で計測(座位計測)する場合があります。
立位(荷重)と座位(非荷重)では足の大きさが異なるため、例えば、荷重位ではEEで非荷重位ではEというように、足囲の判定結果が異なります。
・荷重位と非荷重位の足囲の差はフィッティングに影響する
お店によっては、荷重位と非荷重位、両パターンで計測しているところがあります。
なぜかと言うと、荷重位と非荷重位でどのぐらいの差があるかを知り、フィッティングの参考にするからです。
足囲差が少ない方は、荷重位の足囲に合わせた靴を履いても比較的フィットしやすいのですが、差が大きい方は、荷重位の足囲に合わせた靴を履くと、歩行時にカカトが脱げやすくなることがあります。
足囲差の大きい方は、荷重位ではなく、非荷重位寄りの足囲に合わせた靴を履いた方がフィットすることがあります。
例えば、荷重位の足囲がEE、非荷重位の足囲がCの場合、EEの靴ではなく、DやEの非荷重位寄りの足囲の靴を選ぶといった感じです。
●理由2. 計測者によって数値は変わるから
計測するスタッフによって、メジャーの締め付け具合が微妙に異なります。
締め付け具合が違えば、当然計測結果が変わります。
●理由3. 足の大きさは時間帯によって変化するから
足のむくみ具合は一日に刻々と変化します。夕方になると靴がきつく感じる方は、夕方に足がむくんでいます。
なので、午前中に計測した場合と夕方に計測した場合では数値が違います。
◆足囲は必要以上に広くない方が良いが、つま先は広くても良い
足囲は必要以上に広くないほうが良いです。
理由は、足囲がゆるいと足が靴にしっかりとホールドされず、足が靴内で動きやすくなるので、つま先が靴に当たってしまったり、カカトが脱げやすくなるからです。
ウエストがゆるいズボンを履くと、ずり下がるのと同じです。
一方で靴のつま先部分(足指周り)は広くても良いです。下の画像のようにシャープなフォルムのトゥ型は、足指を強く圧迫します。
デザイン性よりも履きやすさを優先するのなら、つま先のフォルムが足なりになったものを選ぶと良いです。
ボール部分は広く広くなっていても、つま先がシャープになっている靴が多くありますが、そのような靴だと足指が痛くなりやすいです。
◆外反母趾に必ずしも幅広靴が良いとは言えない
外反母趾の方は幅広の靴を選びがちです。当然これは、幅が狭い靴だと外反母趾の部分が痛いからです。
ですが、外反母趾であっても、必要以上に足囲の太い靴を選ぶのは良くありません。その理由の詳細は下記の記事をお読みください。対処方法も書いています。
外反母趾の方が幅広の靴を履くと、外反母趾部分は楽に感じても、カカトが脱げやすいことがあります。
これは前述しましたが、EEEE等の靴はカカト幅も広いものが多いので、カカト周りがゆるくてフィットしていない可能性があるからです。
但し、EEEEでもカカト幅を狭く設計してある靴ならOKの場合もあります。
◆ひも靴は融通性が高いのでおすすめ
前述の通り、足囲は時間帯や体重のかかり具合で変化します。
ひも靴やベルト付きの靴であれば、ひも等で足囲部分の調整ができるので、フィッティングがフレキシブルにできます。
なので、許容範囲内の緩さであれば足に合わせることができるのがメリットです。
逆に、ローファーやストラップのないパンプス等はフィッティングが難しいです。少しでも緩いと脱げてしまうので、タイトなフィッティングをする必要があります。
◆まとめ:足囲表記を鵜呑みにせず、フィッティングを重視すること
- 足囲は靴の甲周りの太さを表し、JIS規格になっている
- 同じ足囲の靴でも、メーカー等によってフィット感にバラつきがある
- EEEE等の幅広靴を探している方は、細めの足の方が多い
- 足の計測での足囲判定は、計測状況によって変わる
◆来店予約・お問合せ
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初めて来店される方は足型計測をさせて頂きます。来店予約、ご不明な点は以下のフォームかお電話にてにお問い合わせ下さい。
◆追伸【無料で読めるものもあり!!】足と靴でお悩みの方にお勧めの本2選
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